スタバでの英才教育

しあわせ受験

秋も深まるとある平日17:00のスタバ。
息っ子の塾帰りに待ち合わせをしていた私の
斜め後ろに座った親子。

可愛らしいワンピースに白いレースの靴下、黒いお出かけ靴の
どうみても幼稚園児ほどの就学前女の子。

席に着くなり何かペラペラと、楽しそうに話し始めた。

「◯◯ちゃん、ちょっとおしゃべり止めて!」

少し甲高い母親の声が周囲に鋭く響き、
女の子の可愛らしい声を遮った。

その後はスタバの机の上に広げられたドリル?の問題を
母親がよく通る声で、1回1回読んでは
女の子に解かせている。

「この丸の中に入るのはどの言葉でしょうか
番号で答えましょう」

あまりにもハキハキと問題文を読み聞かせるものだから、
聞きたくなくとも脳が一緒に考えてしまう私。

「遅いっ。次の問題」
はやいっ!まだ考え中ですー


んー〜ー〜
なんだろう。


なんとも言えないこの気持ち
胸の辺りでキュっとする。


人にはそれぞれ事情があり、
今目の前に見えていることだけを切り取るのは難しいと思います。

でもね。でも

やっと算数らしき問題が終わり本を閉じて片付け始めたので、
なぜかほっとする私。

けれども次の瞬間
お水を持って席に戻ってきた母親は、
また別の問題集(幼児ドリルと呼べないような難しそうな本)を取り出した。
小学校前の子どもがやるテキストなのに
表紙にイラストは全くない。

母親の声が高くはきはきと話すので
話の内容が
親子周辺5メートルにまる聞こえ。

周りの人が何だか皆、居心地悪そうにしているのは
気のせいではない。

「2020年が〇〇で、2019年が◯◯だから…」

開いている本からちらっと見えるその内容は
社会のような問題かな。


「解った!答えは2だ〜」

どうか正解であって!!


と祈る周囲の
不思議な一体感に包まれたスタバの一角。

母親が答えを確認している緊張の一瞬…

「そう、合ってる」

安堵に包まれる周囲半径5メートル。


途中で明らかに集中力が切れた子どもが
またペラペラと母親に何か話すかわいい声がしたのも束の間

「おしゃべりするのは、ここまで終わってからでしょ!」

と問題に戻らされる。


しばらく問題を解いて静かな時間が流れた。
その時

「もうっ!出さないで!!」

母親のトゲのかかった声が店内に響いた。

女の子は横のカバンの上に
すみっこぐらしの本を置いていて
その本の表紙をチラチラと気にしていた様子。

私の隣の若いビジネスマンは、
途中から耳にイヤホンを装着した。

すみっこぐらし かわいいよね〜
息っ子はトカゲのカイロ持ってるよ

親には責任が伴う
子どもの為にという愛情

その責任や重圧に押し潰されて
子どもが傷つかなければいいな。
きっとママさんも一生懸命なだけ。

どの年齢の受験も 大変ですね。

時に大切なものを見失ってしまうこともあるけど
この先どうなるのかは分からないけれど

どうかこの親子が幸せでありますように


その時私の肩をトントンと叩いた。

振り返ると、息っ子がポケーっと立っていて
その全く緊張感のない姿に


「まあ、これもありだなあ」

となぜか安心する親心です。




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